2025年12月02日

「胃がキリキリ痛む」「食後に重い感じが続く」「寝ても治らない」。
こうした“続く胃痛”は、生活習慣による一時的な不調から、早めの受診が必要な病気までさまざまです。この記事では、胃痛が長引く主な原因と、受診の目安になる危険なサインを医師の視点で分かりやすく解説します。
胃痛が続くときに考えられる主な原因
① 胃炎(急性胃炎・慢性胃炎)
もっとも多い原因のひとつです。
ストレス、暴飲暴食、刺激物、感染(ピロリ菌)などで胃粘膜が炎症を起こします。
特徴
みぞおちの痛み・ムカムカ
食後の不快感
胸焼け
長期間続く胃痛では、**慢性胃炎(萎縮性胃炎)**も考えられます。
② 逆流性食道炎
胃酸が食道へ逆流し、胸やけや上腹部痛が続く病気です。
特徴
みぞおち〜胸のあたりが痛む
酸っぱい液が上がってくる
横になると悪化しやすい
デスクワーク・姿勢の悪さ・肥満なども悪化要因です。
③ 胃・十二指腸潰瘍
ピロリ菌感染や薬(痛み止め・ステロイド)などで粘膜が傷つき、潰瘍になると夜間や空腹時の強い痛みが特徴です。
注意点
出血を起こすと貧血・黒色便
放置すると穿孔(穴があく)を起こすことも
長引く痛みと黒い便がある場合は、早めに受診を。
④ 機能性ディスペプシア(ストレス性胃痛)
検査で異常が見つからなくても、胃痛が続く状態のこと。
ストレス・自律神経の乱れ・生活習慣が関連します。
特徴
慢性的な胃の不快感
食後のつかえ
胃の動きが悪い感じ
薬や生活改善で症状が良くなることが多いです。
⑤ 食中毒・感染性胃腸炎
急に胃痛が強く、嘔吐・下痢を伴うのが特徴です。
注意点
脱水に注意
ウイルス性、細菌性などで症状が異なる
高熱や血便がある場合は受診を推奨
⑥ 胃がん(まれだが注意が必要)
初期症状が乏しいため、“なんとなく胃が重い”症状が続く場合は注意します。
要注意の症状
体重減少
貧血
つかえ感が強い
家族に胃がんが多い
40歳以上で胃痛が続く場合は一度検査がおすすめです。
胃痛と一緒に出ると危険なサイン(要受診)
以下の症状がある場合、早めの医療機関受診が推奨されます。
① 「激しい痛み」や「急に強くなった痛み」
胃潰瘍の穿孔や膵炎など、緊急対応が必要な病気の可能性があります。
② 吐血・黒色便(タール便)
胃・十二指腸潰瘍などの出血が疑われます。
③ 発熱・強い嘔吐・脱水
感染性胃腸炎などの可能性。
④ 体重減少・食欲低下が続く
がんや慢性疾患の可能性があります。
⑤ 食事がつかえる・飲み込みにくい
逆流性食道炎の悪化や食道の病気が関係することも。
セルフチェック:受診の目安
以下に1つでも当てはまる場合は、医療機関(消化器内科)で相談してください。
胃痛が1〜2週間以上続く
市販薬で改善しない
夜間の痛みが増える
食後すぐに胃が重くなる
40歳以上で胃痛が続く
過度なストレス・暴飲暴食を繰り返している
ピロリ菌を指摘されたことがある
自分でできる胃痛対策(軽い症状向け)
① 食べ過ぎ・飲み過ぎを控える
脂っこい料理・アルコールは炎症を悪化させます。
② カフェイン・刺激物を控える
コーヒー・辛いものは胃酸を増やすことがあります。
③ 規則正しい生活・ストレスケア
睡眠不足やストレスで胃の働きが低下します。
④ 胃に優しい食事
おかゆ
スープ
白身魚
豆腐
温かい飲み物
消化しやすい食事がおすすめ。
検査について
医療機関では、症状や経過に応じて医師の判断で必要な検査を行います。
・血液検査
・超音波検査
・内視鏡検査(胃カメラ)
・ピロリ菌検査 など
症状や年齢、既往歴により検査内容は異なります。
まとめ:胃痛が続くときは“早めの相談”が安心
胃痛は、ストレスや生活習慣による一時的なものから、治療が必要な病気まで多岐にわたります。
特に、1〜2週間以上続く痛み、強い痛み、体重減少、黒い便、嘔吐を伴う場合は、早めの受診が安心です。
胃痛が続くことで不安を感じている方は、一度医療機関(消化器内科)に相談してみてください。
